2017年8月の北朝鮮ミサイル発射により鳴ったJアラート。
しかし、どんな時に鳴るのか、どうしたら良いのかはまだあまり知られていません。
Jアラートについて、基本をもう一度学んでおきましょう。
正式名称は「全国瞬時警報システム」と言います。
2004年から整備され始めたシステムで、国民に大きな被害が及ぶ事態が起こり得るとき緊急に伝えるため鳴らされる警報です。
被害が予想される地帯で、スマホから鳴ります。
地域の防災無線からも鳴らされます。
TVやラジオでも同時に全国に告知され、瞬時に各局とも特番に切り替わります。
2017年8月28日と9月15日の北朝鮮からのミサイル発射の際、Jアラートが鳴った地域と鳴らない地域がありました。
また、ミサイルは結局海に落ちたのですが広範囲でJアラートが鳴りました。
これは何故なのでしょうか。
ミサイル発射準備をしようとしている、というのは人工衛星などの観測で早ければ数日前、遅くても数時間前には見当がつきます。
しかし、「どれだけ長い距離に撃とうとしているのか」「角度はどれくらいつけているのか」ということはその時点ではわかりません。
準備だけしても、日本に向けていないかもしれませんし、日本海以前で落ちる短距離かもしれません。
ミサイルが発射後すぐ日本の領海の外に落ちた時は、日本に到達しないのははっきりしているのでJアラートは鳴りません。
問題は、日本列島を直撃するか飛び越すかした場合です。
ミサイルがきてからでは遅いので、発射されてからミサイルの加速や角度を観測し、「日本列島に落ちる可能性があるか」ということを急いで検討し、「落ちる可能性がある」とされた場合 Jアラートが鳴ります。
直撃の可能性が薄くても、ミサイルが不良品だったり故障したりで、上空で壊れて日本の国土に落下すれば大きな被害をもたらします。
高度数100kmから重いミサイルの破片が落ちれば、下にいる人は大怪我をする危険性が高いですからこれも「落ちる可能性がある」の範疇に入るのです。
ですから、ミサイルの加速度や角度を随時観測して軌道や着弾位置を予測し、日本列島に着弾するか、上を飛びこすのがほぼ確定した時点で、通過コースとその周辺地域にJアラートが鳴ります。
不測の事態に備え、アラートが鳴る地域は広めに取っています。
しかし、「どうズレてもミサイルが通過も落下もしない」ことがはっきりしている地域にはJアラートは鳴らないのです。
ですから先述のミサイル発車の時も、西日本ではJアラートは鳴っていません。
鳴った地域も、「ミサイルが何事もなく壊れず通過して、海の何もないところに落ちた」と確認され次第解除されます。
「緊急に避難するよう伝達する」のが目的のJアラートですから、実はミサイルだけに限らないのです。
テロ事件が起こった際にも、状況によっては出されます。
また、津波や地震、火山の噴火の際も発動する場合はあり得ます。
ですから「ミサイルしか鳴らない」訳ではないのです。
どのような状況で鳴っているのかも防災無線で告知されますから、しっかり聞いて合った対処法をしましょう。
津波とミサイルでは取るべき対応も大違いです。
ただ、今の所災害ではJアラートが鳴る実例が少ないだけなのです。